仕事柄、様々な研修を受ける機会があります。施策に関する知識を得ることを目的としたものが多いのですが、ときに、ずっと忘れられない心に残る研修に出会うことがあります。
難病患者さんの支援を担当していた時、「意思決定支援」をテーマにした研修に参加する機会がありました。難病の中には生命維持にかかる人工呼吸器をつけるかつけないか、選択を迫られる病気があります。その病気の場合、一度つけたら外すことはできないので、患者さんもご家族も葛藤しながら選択する、それをどう支援していくかといった内容でした。
生死に関わることなので、支援者も聴くことにためらいがあり、私自身も聴くことが怖い、話されたことを受け止める自信がない、患者さんの言葉にどう返すのが「正解」なのかわからない、と不安を強く感じていました。
その研修の中で、講師が「みんなが気にしていながら、だれもそのことを訊かない。患者さんも話したいと思っているけど、周りの人が避けている雰囲気を察して話せなくなってしまう。それは患者さんを孤独の中においてしまうこと」と話していたことが、20年以上たった今でも、ずっと忘れられません。「孤独」という言葉に殴られたような気がしました。
はぐでは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)をテーマにした活動に取り組んでいますが、ACPのことを考えるとき、ふっと、この研修でのこの言葉が頭に浮かぶのです。若いときに感じていた不安がなくなったわけではありませんが、今の自分なりにACPのお手伝いができたらなあと思っています。