関川村の老人保健施設事務長である島田篤史さん(正会員・副代表)からのレポートです。8月3・4日の災害時に、施設としてどのような判断や対応をしたのか、SNSがいかに役に立ったかについてお伝えします。
老人保健施設での被災
まずは8月3日、4日の水害で被災された皆様には心からお見舞いを申し上げます。また、現在も復旧活動に従事されている方々に敬意を表します。
さて、私の勤務する施設で今回の水害対応を振り返りました。
初めに結論です。災害時にもSNSの活用は有効である事。また状況にもよるが頑丈な建物であれば垂直避難が良いと考えました。(個々の状況によって異なる場合もございますので、その点をお含みおきください。)
8月4日 朝

8月4日4:30 ようやく荒川の水位が見えてきた。深夜から泊まり込みで対応していたが、夜間は荒川の水位が見えなかった。時折イナビカリが水面を照らすと一瞬見える。水位はだいぶ上昇している。
「起床したら全員2階に避難します」ご利用者の状態も考慮して、介護主任よりアナウンス。入所者約80名は2階に避難した。
浸水は免れましたが、朝になっても職員は出勤できず、夜勤者4人と私で凌ぐしかありませんでした。当然、食事も通常の物は提供できないため、非常食で対応。といっても非常食を温めるための厨房の使用方法、ガスの元栓の場所などがすぐには分かりません。出勤できないでいる管理栄養士に、LINEのビデオ通話などを通じて教えてもらいました。これにより入所者80名分の非常食の提供を行えました。
明け方から主任達と私は、LINEを通してリアルタイムで情報交換しました。また通勤もいつものルートは陥没や浸水などで通行不可であったため、職員どうしでSNSで通れる道を情報交換して、午後には多くの職員が出勤できました。施設に来られない職員からは励ましの言葉がありました。当たり前のことですが、施設(建物)があっても、人がいないことにはサービスは提供できません。人があっての施設サービスである事を災害を通して痛感しました。
2階への避難(垂直避難)
水害の避難方法として、水平避難と垂直避難がある事はご存じかと思います。水平避難とは、その場を立ち退いて近隣の安全を確保できる場所へ一時的に移動すること。垂直避難とは今いる建物や近くの建物の2階以上の高い所に移動することです。今回、私の施設では垂直避難をしました。災害の際には必ずしも避難場所に向かうことが正解とは限りません。施設は鉄骨3階建。1階が浸水してもご利用者、職員の命を守ることが第一と考えると、他の場所への移動(水平避難)は現実的ではなかったと思われます。すでに災害が発生している状態で避難所など別の安全な場所へ移動しようとするとその途中で災害に巻き込まれてしまうおそれがあります。しかも夜間の移動は非常に危険が伴います。ましてや要介護状態の方、認知症の方については外に出ることで危険度が高まります。今回は垂直避難で良かったと思いました。
役に立ったSNS
そしてSNSの写真、動画の活用です。まさに百聞は一見にしかず、です。
近年、水に関する自然災害は増加傾向にあると聞きました。今回のことを教訓に今後も災害対策に生かせるようにしたいと考えます。
